増大する医療費

1 概要

日本では人口が高齢化するなかで、医療費がどんどん増えている。厚生労働省は、2015年度の医療費は41.5兆円だったと公表した。ざっくり平成 27 年度の医療費の動向を説明すると、以下のようになる、

  • 医療費が41.5兆円で過去最高を記録
  • 医療費は2025年まで増加する見込み
  • このままでは医療制度が維持できないのでサービスの見直しが課題

時系列データで見ると、1991年(平成元年)から2015年(平成27年)この27年で2倍以上になった。

国民医療費の推移

(出典:厚生労働省(10兆円未満は四捨五入))

このデータを時系列で見ると、以下のようになる。

・1989年(平成元年) 20兆円

・1995年(平成 7年) 27兆円

・2005年(平成17年) 33兆円

・2015年(平成27年) 41.5兆円

2005年よりも医療費が8.5兆円増加している。2014年より医療費が1.5兆円増加している。国の予算は96兆円しかないから、42兆円も医療に使っていたら財政はパンクするはずであるが、42兆円のうち国や地方が負担しているのは16兆円だけである。残りは、企業や個人の保険料と、患者が負担している。

医療費負担の状況を2014年の値でざっくり説明すると、以下の通りである。

・4割は、国や地方が負担して、16兆円

・5割は、企業や個人の保険料で、20兆円

・1割は、患者負担で、5兆円

国民が医療費をどこで使っているかというと、7割が医科診療(入院や外来)29兆円、1割が歯科診療(歯の治療など)3兆円、2割が薬局調剤(薬の処方)7兆円、残りがその他の部分である。

医療機関全体の費用の内訳が何に使われたかというと、5割が人件費(医師、歯科医師、薬剤師、看護師)19兆円、2割が医薬品(薬、包帯など)9兆円、1割が(医療材料2.6兆 や委託費1.9兆)4.5兆円、2割が経費(光熱費、家賃、支払利息)8兆円である(すべて10%未満を四捨五入)。

国民医療費総額の内訳

(出典:2014年度の国民医療費の概況 厚生労働省)

2 社会保障費の推移

高齢化しているので医療費が増えるのは当然であるが、年金、医療、介護、子育てを含めた社会保障費は、2015年度に110兆円を超えた。ちなみに、社会保障給付費には、年金(50兆)、医療(40兆)、介護(15兆)、子育て(5.5兆)などがある。

社会保障給付費と国民所得

(出典:平成28年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)に関する参考資料 厚生労働省)

3 将来の医療費

将来どのくらい医療費が増え続けるのか気になるが、社会保障費全体で119兆円から149兆円規模に拡大することが予想される。

(2015年) → (2025年)

年金   50兆 → 60兆円

医療費  40兆 → 54兆円

介護   15兆 → 20兆円

子育て  5.5兆 → 5.6兆円

その他  7.8兆 → 9.0兆円

将来の医療費

出典:社会保障制度改革の全体像 厚生労働省